縦型動画広告の作り方。広告クリエイティブで押さえる構成と画面設計
縦型の動画広告は、冒頭で目的を伝え、1つの訴求に絞り、最後に次の行動を示す構成が基本です。作る前に決めること、画面の使い方、公開前の確認点を整理します。
縦型の動画広告は、通常のショート動画と同じ縦長のフォーマットで作りますが、「誰に何をしてほしいか」がはっきりしている点が大きく違います。結論としては、1本の広告で伝える訴求を1つに絞り、冒頭で相手に関係のある話だと分かってもらい、最後に次の行動を明示する構成が基本です。作り込む前に、目的・相手・訴求の3つを先に決めてください。
制作前に決める3つのこと
広告は「面白い動画」ではなく「行動してもらうための動画」です。制作の前に次の3つを短い文章で書き出しておくと、途中でぶれません。
- 目的:来店、資料請求、購入、アプリ登録など、広告を見た後に取ってほしい行動を1つ
- 相手:どんな悩みや状況の人に見せるか(年齢だけでなく、困っている場面で表現する)
- 訴求:その人にとって「自分に関係がある」と感じる理由を1文で
縦型広告の基本構成
運用者の間でよく使われる構成は、「問いかけ・共感」「解決のイメージ」「根拠や実例」「行動の案内」の4ブロックです。秒数の配分は商材や配信面で変わるため、固定の正解はありません。大切なのは順番で、冒頭に会社名やロゴを長く出すより、相手の状況から入るほうが見続けてもらいやすいと言われています。
例えば美容室の広告なら、「朝のセットが決まらない髪の悩み」から入り、施術後の変化を見せ、初回の予約方法で終える流れです。商品説明を最初に全部並べるのではなく、1つの悩みに答える形にします。
画面設計で気をつけること
縦型では、画面の上下にアプリの表示(アカウント名、説明文、ボタンなど)が重なります。重要な文字や顔を画面の端に置くと隠れる場合があるため、中央寄りに配置するのが安全です。具体的な余白の範囲は配信面ごとに異なり、変更もあるので、各プラットフォームの広告仕様ページで最新情報を確認してください。
音を出せない環境で見る人も多いため、要点は字幕やテロップでも伝わるようにします。文字は短く、1画面に載せる量を絞りましょう。
公開前のチェックリスト
入稿してから修正すると、審査のやり直しで配信開始が遅れることがあります。事前に次の点を確認します。
- 冒頭の1〜2秒で、誰向けの広告か分かるか
- 訴求が1つに絞られているか
- 最後に行動の案内(場所、手段)が明確か
- 「必ず」「業界No.1」など根拠のない断定表現がないか
- 音楽や素材の利用許諾を確認したか
- スマホの実機で、文字が隠れていないか
効果や価格を示す表現は、景品表示法などの規制の対象になる場合があります。根拠を示せない表現は避けてください。
まとめ
縦型動画広告は、凝った編集よりも「相手に合った入り方」と「迷わない出口」が成果を左右します。まず1つの訴求で3パターンほど作り、反応を比べるところから始めてみてください。
悪い例と改善例:焼き菓子店の広告
悪い例は、店名とロゴのあとに「こだわりの素材、手作り、種類も豊富」と特徴を並べ、最後に「ぜひお越しください」で終わる動画です。誰に向けて何がうれしいのかが分からず、行動の案内も弱くなっています。
改善例は、「手土産に何を持っていくか毎回悩む人へ」と相手の状況から入り、箱を開ける場面を見せ、日持ちや個包装など手土産に向く理由を1つだけ伝え、最後に「予約は店頭かプロフィールのリンクから」と行動を示す形です。特徴が1つに絞られているので、見る人が自分ごととして受け取りやすくなります。
制作の進め方と本数の考え方
広告は1本で当てるというより、複数本を出して反応の違いから学ぶものです。撮影は一度にまとめて行い、冒頭や訴求だけを変えた派生版を作ると効率的です。同じ素材を使って、入り方と締め方を差し替えるだけでも、比べる材料になります。
一方で、素材の使い回しばかりだと見る人が飽きやすくなります。反応が落ちてきたら、新しい撮影や切り口を足す計画を最初から入れておきましょう。
広告で使う素材の集め方
広告用の動画は、特別な撮影をしなくても、日常の素材から作れることが多いです。商品を使っている手元、お客様に感謝を伝える場面(出演許可を得たもの)、作業の工程、ビフォーアフターなどが材料になります。素材を撮るときは、縦向きで、1カットを長めに回しておくと、あとで冒頭や締めに差し替えやすくなります。
人物が映る場合は、本人の同意を文面で残しておくと安心です。BGMや効果音は、広告として使える権利の範囲かを確認してください。個人向けの音源が商用の広告で使えないことがあります。
最初のテストで見るポイント
公開後は、再生数の多さだけで良し悪しを判断しないことが大切です。広告の目的が来店なら、クリックや予約ページへの移動、実際の予約数など、目的に近い指標を中心に見ます。動画が最後まで見られているか、途中で離れる場所はどこかも、改善のヒントになります。
結果が思わしくなかったときは、冒頭、訴求、行動の案内、誘導先のページのどこに原因がありそうかを順に疑います。動画だけでなく誘導先の分かりやすさが原因の場合も少なくありません。
社内で承認を取る場合の進め方
企業や店舗で広告を出す場合、上長や関係者の承認が必要なことが多くあります。完成した動画だけを見せると、修正が大きくなりがちです。そこで、台本の段階、絵コンテの段階、完成版の段階と、3回に分けて確認を取ると手戻りが少なくなります。
確認する人には、「この広告の目的は何か」「誰に向けたものか」を先に伝えます。好みの意見ではなく、目的に合っているかで判断してもらうと、議論が建設的になります。法務や専門家の確認が必要な表現は、台本の段階で洗い出しておくと安心です。
小さな事業者が最初の1本を作る手順
最初の1本は、凝らずに作るのが近道です。まず、スマホで商品や接客の様子を縦向きに撮り、10〜20カットほどの素材を集めます。次に、台本を4ブロックに分けて書き、素材を順番に並べます。字幕を入れ、最後の行動の案内を足します。
公開前の確認を終えたら、少額で配信して反応を見ます。完成度を上げることよりも、早く公開して、実際の反応から学ぶことを優先してください。2本目、3本目と作るうちに、自社に合う型が見えてきます。
よくある疑問
Q. 既存のオーガニック動画をそのまま広告にしてもよいですか。A. 可能ですが、最後に行動の案内を足すなど、広告用に手直しすると成果に近づく場合があります。
Q. 凝った編集は必要ですか。A. 必須ではありません。相手に合った入り方と、迷わない出口があれば、シンプルな編集でも役目を果たします。
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