ナレーション原稿を話し言葉に直す7つのコツ。書き言葉のままだと聞き取れない理由
文章としては正しい原稿でも、耳で聞くと分かりにくくなります。主語と述語の距離、同音異義語、文末の揃え方など、書き換えの具体例を紹介します。
ナレーション原稿は、目で読む文章とは別物です。聞く人は読み返せないので、一度で理解できる短さ・順序・音にする必要があります。ここでは、書き言葉の原稿を話し言葉に直す7つのコツを、書き換え例つきで紹介します。
1〜4:構造を変える
1つ目は、一文を短くすること。目安は一文30〜40字です。読点で息継ぎできないほど長い文は、切りましょう。
2つ目は、主語と述語を近づけること。「この商品は、〜という特徴を持ち、〜にも対応し、〜な人に向いています」のように離れると、聞いている間に主語を忘れます。
3つ目は、結論を先に言い、理由を後ろに置くこと。「〜なので、〜だから、〜です」より、「〜です。理由は〜だからです」のほうが追いやすくなります。
4つ目は、ひとつの文に情報を1つだけ入れること。数字、固有名詞、評価を一文に詰め込むと、どれも残りません。
5〜7:言葉を選ぶ
5つ目は、同音異義語を避けること。「使用」と「私用」、「以上」と「異常」、「機会」と「機械」のように、耳だと区別がつかない語は、言い換えるか字幕で補います。
6つ目は、硬い語を平易な語に替えること。「および」→「と」、「~に際して」→「~のとき」、「所有する」→「持っている」。
7つ目は、文末のパターンを揃えすぎないこと。「〜です。〜です。〜です。」が続くと単調になり、「〜ます」「〜ですよね」「〜なんです」を混ぜると耳に残りやすくなります。ただし、言い換えを増やしすぎると口調がぶれるので、1本の中で人格を揃えることは意識してください。
書き換えの実例
Before:「本製品は軽量でありながら高い耐久性を有しており、通勤時の使用にも適しています」
After:「軽いのに、丈夫です。毎日の通勤でも使えます」
Before:「ご利用に際しましては事前の予約が必要となりますので、ご注意ください」
After:「使う前に予約が必要です。忘れずにどうぞ」
変えているのは語彙だけでなく、一文に入れる情報量です。Afterは2文に分かれ、それぞれ読み上げて1息で収まります。
よくある書き言葉の例と置き換え表
原稿でつい使ってしまう言葉と、話し言葉の置き換え例を挙げます。
- 「〜することができます」→「〜できます」
- 「したがって」「ゆえに」→「だから」
- 「〜において」→「〜で」「〜のとき」
- 「〜という点が重要です」→「ここが大事です」
- 「〜と思われます」→「〜だと思います」
- 「非常に」「極めて」→「とても」「すごく」
置き換えるときは、動画の雰囲気に合わせて統一します。丁寧な解説調なら「とても」、カジュアルなら「すごく」といった具合です。
声に出す前にできる、目での簡易チェック
原稿を声に出す前でも、いくつかの点は目で確認できます。1つは、読点(、)がほとんどない長い文。2つ目は、漢字が多く並んだ箇所。3つ目は、カタカナ語や略語が連続する箇所。これらは、読みにくく、聞き取りにくい原因になります。
また、「が」が一文に3回以上出てくると、主語が曖昧になりがちです。置き換えるか、文を切りましょう。この簡易チェックの後に音読すると、修正にかかる時間が短くなります。
原稿の「間」を書き込むルール
話し言葉の原稿では、間の取り方も一緒に書いておくと、収録が安定します。簡易なルールとして、読点の位置で軽く息を継ぐ、句点の位置で一拍置く、強調したい語の前は二拍置く、と決めておきます。
台本に「/」で一拍、「//」で二拍を書き込むと、誰が読んでも近い調子になります。複数人で運用するときや、外部のナレーターに依頼するときにも共有しやすく、仕上がりのブレを防げます。
ジャンル別・口調の決め方
口調は、ジャンルとターゲットに合わせて決めます。ビジネス系や解説系は、丁寧な「です・ます」調が信頼感につながります。日常系や体験談は、少し砕けた「〜なんです」「〜ですよね」を混ぜると親しみが出ます。キッズや若年層向けなら、語尾を短く、リズム重視で。
大切なのは、1本の動画の中で口調を揃えることと、シリーズ全体で一貫させることです。口調が揺れると、話者の人物像がぼやけ、アカウントの印象も定まりません。最初に「自分の口調ルール」を3行ほどでメモしておきましょう。例:一人称は「私」、語尾は「です・ます」中心、問いかけは「〜ですよね?」まで。
仕上げの確認方法
書き換えが終わったら、必ず声に出して読みます。つっかえる箇所は、聞く人もつまずきます。可能なら、他の人に読み上げてもらうか、読み上げ機能で再生して、耳で聞いて意味が取れるかを確認してください。
チェックの観点は3つです。聞き返したくなる語はないか。誰のことか分からない代名詞(それ・あれ)はないか。数字は聞き取れるか。1つでも当てはまれば、言い換えるか、字幕で補いましょう。
方言やキャラクターづけのために、あえて崩した言い回しを使うのは問題ありません。その場合も、伝えるべき情報は標準的な語で明確にしてください。