撮影メモの書き方。撮影者から編集者へ意図を伝え、編集の手戻りを減らす
撮影担当と編集担当が別のとき、撮影現場の情報を編集者へ渡す撮影メモの書き方を解説。ベストテイクの共有、NG素材、音や環境の注意点まで。
撮影者と編集者が別の場合、撮影メモ(素材ごとのメモ)を添えるだけで、編集者の迷いと手戻りが大幅に減ります。撮影現場にいた人にとって当たり前の情報(どのテイクが良かったか、音が入っていないか、何を伝えたかったか)は、素材だけを見る編集者には分かりません。この記事では、撮影メモに書く項目と、書き方のコツを整理します。
撮影メモが必要な理由
撮影メモが必要な理由は、素材を見ただけでは判断できないことが多いからです。同じ場面を何度も撮り直した場合、編集者はどのテイクを使うべきか分かりません。また、撮影中に起きた音のトラブルや、言い間違いなど、現場でしか分からない情報もあります。メモがないと、編集者は全素材を確認して推測するしかなく、時間もかかり、意図とずれた編集になりやすくなります。
書いておきたい項目
撮影メモに書く項目です。
- 素材のファイル名(または撮影順の番号)
- どのテイクが使いたいものか(ベストテイク)と、その理由
- 使わないでほしいテイクとその理由(言い間違い、ピンボケなど)
- 音のトラブルの有無(風、周囲の声、マイクの不調)
- 撮影時の環境(場所、時間帯、照明の状況)
- 映り込んでしまった人や物など、編集で隠してほしい箇所
- 台本のどの部分に当たる素材か
- 撮影時に伝えたかった意図、強調したい動作
撮影中は、素材ごとに全部書く余裕がないかもしれません。その場合は、撮影の直後にスマホのメモや音声で簡単に残しておくだけでも、後から整理できます。
短く、撮影順で、ファイル名と対応させる
メモの書き方のコツは、短く、順番を撮影順に揃えることです。長文で書くと読む側の負担が増えます。「3番:ベスト。声が小さいので音量を上げてほしい」「5番:NG。途中で人が映り込んだ」のように、一行で状態が分かる形式にします。
ファイル名と対応させる必要があるため、撮影した素材を共有する前にファイル名の整理をしておきます。スマホで撮った素材の名前は自動で付けられることが多く、日付と連番のみになりがちです。撮影順の番号とメモの番号が一致するよう、アップロードの前に確認してください。
台本と素材の対応表
台本がある場合は、台本と素材の対応表を作るのも有効です。台本の各文に、対応する素材の番号を書き添えます。これにより、編集者は台本の順に素材を並べるだけで、最初の骨組みを作れます。台本にない場面を撮影した場合は、その旨と、使いたい位置をメモに残します。
また、撮影した素材のうち、使う予定がないものも、削除せずに渡すかどうかを決めておいてください。素材をすべて渡すと、編集者が使えるものを自分で選べますが、容量が増えます。使わない素材は別フォルダに分けて、念のため残しておく運用がおすすめです。
書式を用意して習慣にする
メモを書く習慣をつけるには、撮影前にメモの書式を用意しておくのが近道です。スマホのメモアプリに、「番号/良い・悪い/一言」という雛形を作っておくだけで、撮影中の記入が簡単になります。撮影担当が複数人いる場合は、全員が同じ書式で書くよう、共通ルールとして周知してください。
メモを受け取った編集者には、足りない情報があれば遠慮なく質問してもらうようにします。質問が出た項目は、次回から撮影メモの項目に追加すると、メモが運用と一緒に改善されていきます。
撮影メモの具体例
撮影メモの具体例を示します。飲食店の商品紹介を3カット撮影した場合、「01:全体が映るカット。ベスト。湯気がきれいに出ている」「02:手元のアップ。店員さんの声が入っているので、音声は使わず、BGMのみ」「03:失敗。ピントが合っていないので使わない」のように書きます。たった3行ですが、編集者は迷わずに素材を選べます。
さらに、撮影現場で気づいた事実に関わる情報(価格、メニュー名の正しい表記、営業時間)も、メモに書き添えます。字幕に入れる情報の根拠になるため、編集者が推測で書く事故を防げます。
撮影当日に共有する
撮影者と編集者が離れている場合、撮影後すぐにメモを共有する習慣をつけることがポイントです。時間が経つほど、撮影時の記憶は薄れ、メモの精度が下がります。撮影が終わったら、その日のうちに、素材と一緒にメモをアップロードしてください。
慣れてきたら、メモの書式を撮影チェックリストと一体化させると、撮影漏れの防止と編集者への共有を同時に行えます。
質問しやすい環境と、小さく始める工夫
メモが活きるのは、編集者が質問しやすい環境があってこそです。メモの内容で分からない点があれば、気軽に聞いてほしいと伝えておきます。また、メモの有無で編集時間がどのくらい変わったかを、編集者に聞いてみるのもよい方法です。効果が分かれば、撮影担当も記入の動機づけになります。
撮影メモは、慣れるまでは負担に感じるかもしれません。最初は、ベストテイクとNGテイクの2点だけ書くところから始めて、徐々に項目を増やすのがおすすめです。