企業のショート動画でステマと言われないために。PR表記と社員・インフルエンサー起用の注意
企業の宣伝であることを隠した投稿は、ステルスマーケティングとして問題になります。PR表記の考え方、社員投稿やインフルエンサー起用で気をつける点を整理します。
企業が関わる宣伝であることを、視聴者が分からない形で投稿すると、ステルスマーケティング(ステマ)として問題になる可能性があります。日本では、広告であることを隠した表示を景品表示法上の不当表示として規制する仕組みが整備されています。企業は、自社が関わる宣伝は、広告であることが分かるようにするのが原則です。
この記事は一般的な考え方の整理です。個別の事案が規制の対象になるかは、法務・弁護士や、消費者庁などの公式な資料で確認してください。
どんなときに表記が必要になるか
判断の基本は、「事業者が内容に関与しているか」と、「第三者の自主的な投稿に見えるか」です。企業が対価を払って依頼した投稿や、商品の提供と引き換えに投稿を求めた場合、投稿内容が企業の指示によるものであれば、広告であることを明示する必要があります。
自社の公式アカウントの投稿は、一般に企業が発信していると分かるため、通常は問題になりにくいと考えられています。問題になりやすいのは、社員や関係者が一般ユーザーを装って、自社商品を褒める投稿をする場合や、インフルエンサーが提供を受けた商品を、広告と分からない形で紹介する場合です。
表記の基本:分かりやすく、見落とされない形で
表記の方法に唯一の正解はありませんが、『一般の視聴者が広告だと気づけるか』を基準にしてください。
- 「PR」「広告」「プロモーション」など、広告と分かる言葉を使う
- 動画の冒頭など、視聴者が見落としにくい位置に表示する。概要欄の末尾に小さく書くだけにしない
- ハッシュタグに埋もれない形にする
- 動画内でも、音声や字幕で一言触れる方法を併用する
- プラットフォームが提供する「プロモーション」を示す機能がある場合は、その利用も検討する(機能の名称や条件は変わるため公式ヘルプで確認)
社員に投稿させるときの注意
社員に個人アカウントで自社商品を投稿するよう求める場合は、会社の指示であることが分かるように表記させる必要があります。『自主的な感想』を装って投稿させるのは問題があります。また、投稿を強制することは、社員の自由を侵害するおそれがあり、避けるべきです。
社員が自発的に投稿する場合も、会社との関係を明示するのが望ましいです。たとえば『◯◯社の社員です』と自己紹介に含めるルールをガイドラインに入れておきます。
インフルエンサーに依頼するときの契約と運用
インフルエンサーに依頼する場合は、契約書やガイドラインに、広告表記の義務を明記します。依頼内容の確認フローを設け、投稿前に表記が適切かを確認し、公開後も継続して見ます。事業者が責任を負うのは、依頼先が表記を怠った場合にも及ぶ可能性があるため、依頼先任せにしないことが重要です。
報酬を払っているのに、企業関与を示さないよう依頼することは、絶対に避けてください。また、効果効能の表現についても、事実に基づいた範囲で説明するよう指導します。
医薬品、化粧品、健康食品、金融商品などは、広告表現に別の法律や業界の規制がかかります。これらの分野の広告は、専門家の確認を受けてから公開してください。
よくある誤解:「自社の投稿だから問題ない」とは限らない
公式アカウントの投稿は企業発信と分かるので、一般に表記の問題は小さいと考えられますが、注意が必要な場面があります。たとえば、お客様の声として紹介する投稿で、実際には社員や関係者が書いたものを一般の顧客の声のように見せる場合は、誤認を招きます。口コミやレビューの形式を借りた演出も、事実に反する印象を与えないよう注意が必要です。
また、「満足度1位」「人気No.1」などの表現は、根拠となる調査の条件や時期を示せないと、不当表示と指摘される可能性があります。数字や順位を使うときは、調査主体、対象、期間を明示し、根拠資料を保管してください。
表記の文言例と、避けたい表現
広告と分かる文言の例として、「PR」「広告」「プロモーション」「◯◯社提供」などがあります。避けたいのは、「#ad」など単独のハッシュタグを大量のタグの中に埋めることや、薄い色・小さな文字で目立たなくすることです。また「提供を受けました」と書いても、動画の冒頭など目につく場所になければ、視聴者が気づけない可能性があります。
最終的な判断基準は、一般の視聴者が動画を見て、企業の宣伝だと自然に理解できるか、です。自社で迷ったときは、表記を多めにするほうが、リスクは小さくなります。
社内の確認チェックリスト
チェックリストは、承認フローに組み込んでおきましょう。
- この投稿に企業の関与(対価、提供、指示)があるか
- 関与がある場合、広告と分かる表記が見やすい位置に入っているか
- 表記の文言は、一般の視聴者に理解できるか
- 投稿の内容が事実で、誇大でないか
- 依頼先との契約に、表記の義務が含まれているか
- 公開後の確認担当が決まっているか