ショート動画のペルソナの作り方。「見てほしい1人」を決めて企画がブレなくなる手順
ショート動画のペルソナは年齢や性別の属性より、悩み・状況・検索しそうな言葉まで具体化する方が使えます。1人を決める5つの質問と、企画に落とす手順を例つきで解説します。
ショート動画のペルソナは、「30代女性」のような属性の羅列ではなく、「いま何に困っていて、どんな場面でスマホを開き、どんな言葉で検索するか」まで書き込んだ『架空の1人』にするのが実用的です。結論として、5つの質問に答えれば15分ほどで作れます。作る目的は立派な資料にすることではなく、企画を考えるたびに『この人は見るだろうか』と判断できる物差しを手に入れることです。
ターゲットを広く取るほど安心に思えますが、冒頭の1文を誰に向けて話すか決められなくなり、結果として誰にも刺さらない動画になりがちです。ここでは、ペルソナを作る手順と、企画・台本・投稿時間に落とし込む方法を順番に説明します。
属性だけのペルソナが役に立たない理由
『25〜34歳の女性、東京在住、会社員』と書いても、そこから出てくる企画は『会社員向けの時短術』程度に留まります。同じ属性でも、毎朝ギリギリまで寝ていて朝の準備を5分で終わらせたい人と、在宅勤務で昼食の献立に毎日悩んでいる人とでは、見たい動画がまったく違うからです。
役に立つのは行動と感情の情報です。ショート動画は数秒で見るか離れるかが決まる媒体なので、『この人が今まさに感じているモヤモヤ』を冒頭で言い当てられるかどうかが勝負になります。属性は補助情報と考え、状況・悩み・言葉づかいを中心に書きます。
5つの質問でペルソナを作る手順
紙かメモアプリに、次の5つの質問へ1〜2行ずつ答えてください。実在の知人を1人思い浮かべながら書くと、具体的になりやすくなります。
- Q1 その人は1日のどの場面でスマホを開き、ショート動画を見ていますか(例:通勤電車、寝る前の布団の中)
- Q2 そのジャンルについて、いま一番困っていること・不安なことは何ですか
- Q3 すでに試して失敗したこと、挫折した経験は何ですか
- Q4 検索窓やコメント欄に、どんな言葉で書き込みそうですか(口語のまま書く)
- Q5 動画を見終わったあと、どんな状態になっていたら『見てよかった』と感じますか
実在の個人をモデルにするときは、名前や特定できる情報をメモに残さず、特徴だけを抽象化して使ってください。
記入例:自炊を始めたい一人暮らしの社会人
料理チャンネルを例にします。Q1は『仕事帰りの電車で、夕食を何にするか考えながら見る』、Q2は『食材を使い切れず捨ててしまう』、Q3は『まとめ買いをして冷蔵庫で傷ませた』、Q4は『一人暮らし 食材 使い切り』『もやし 以外 安い野菜』、Q5は『今夜スーパーで買うものが決まった』。
ここまで書くと、企画の方向がはっきりします。『節約レシピ』ではなく『一人暮らしが傷ませずに使い切れる野菜3種の回し方』のように、悩みに直接答える企画が出てきます。冒頭の1文も『野菜、毎回余らせていませんか』と、相手の状況をそのまま言葉にできます。
ペルソナを企画・台本・運用に落とす使い方
作ったペルソナは、保存して終わりでは意味がありません。企画の採否、冒頭の言葉選び、投稿の時間帯の3か所で使います。
- 企画会議のとき:思いついたネタに対し『この人のQ2の悩みに答えているか』を確認し、答えていなければ保留にする
- 台本を書くとき:Q4で書いた口語表現をそのまま冒頭やテロップに使う(専門用語は言い換える)
- 投稿時間を考えるとき:Q1の場面を基準に、その直前の時間帯から試す(最適時間は断定せず、分析画面の数字で検証する)
- 動画を見直すとき:Q5の状態に近づけているか、最後の1文で確認する
ペルソナ設定シートの書き方(コピーして使える形)
頭の中だけで考えると曖昧になるので、次の項目をそのまま書き出せる形にしておくと便利です。1枚に収まる分量にとどめ、読み返したくなる長さにするのがコツです。
- 呼び名(実在の人物名は使わず、『夜の自炊さん』のように状況で呼ぶ)
- 一日のスマホを見る場面と、そのときの気分(疲れている、暇つぶしなど)
- いまの悩みを一言で(『何を作ればいいか毎日決められない』など)
- やってみて失敗したこと(悩みの背景になる)
- 検索しそうな言葉・口癖を3つ
- 見終わったあとに起きていてほしい行動(保存する、試す、次の動画を見る)
- このチャンネルに期待しないこと(難しい専門解説は求めていない、など)
最後の『期待しないこと』を書くと、盛り込みすぎを防げます。ショート動画では1本1メッセージが基本です。
ペルソナと「実際の視聴者」がずれたときの考え方
投稿を重ねると、想定とは違う層が見ていることが分かる場合があります。分析画面で年齢層や視聴者の傾向を確認し、想定と大きくずれていたら、ずれた層の反応がよい動画を探します。ずれた層の方が反応していて、しかも自分が話したい内容と合うなら、ペルソナの方を書き換えるのも一つの選択です。
一方、偶然流入しただけでコメントも保存も増えないなら、無理に合わせる必要はありません。視聴者の属性はプラットフォームの推定にもとづく表示で、完全に正確とは限りません。数字は参考として、コメントの中身や保存の動きと合わせて判断してください。
ペルソナと台本の冒頭を結びつける実例
ペルソナの価値が一番出るのは台本の最初の1文です。先ほどの『夜の自炊さん』なら、冒頭は『今夜、冷蔵庫の野菜を余らせそうな人』と、状況で呼びかけられます。ペルソナなしで書くと、『今日は野菜の保存方法を紹介します』のような、誰にでも当てはまり誰にも刺さらない出だしになりやすくなります。
冒頭だけでなく、テロップの言葉選びにも効きます。Q4で書いた口語をそのまま使えば、検索やコメントで使われる言葉と動画の言葉が重なり、『自分のことだ』と感じてもらえる確率が上がります。専門用語を使う場合は、その場で一言添えて説明してください。
よくある失敗と見直しの目安
一つ目は、ペルソナを『理想の顧客』にしてしまうことです。購買力が高そうな人を想定すると、自分が実際に話せる悩みからずれます。二つ目は、複数のペルソナを同時に追うことです。最初は1人に絞り、数十本投稿して反応を見たうえで、近い悩みを持つ2人目を足すのが安全です。
三つ目は、一度作って固定してしまうことです。コメントや保存された動画の傾向から、想定とずれていると分かったら更新します。ペルソナは仮説なので、反応という事実と合わなければ書き換えて構いません。月に1回、コメント欄で多かった言葉を3つ拾って見直す程度の運用で十分です。
チャンネルの現状から見直したい場合は、Nobiru AIのチャンネル分析で視聴者の反応が多い動画を確認し、想定したペルソナとのずれを探す使い方もできます。
この記事に関連する機能
チャンネル分析で反応の傾向を見る