ターゲットの年代に合わせた話し方・言葉選び。世代で変わる伝わる表現の考え方
同じ内容でも、ターゲットの年代や知識量によって伝わる言葉は変わります。専門用語の言い換え、口調、テロップの量、テンポの調整を具体例つきで解説します。
ターゲットに合わせた言葉選びは、年代の固定観念に合わせるのではなく、『その人が普段どの言葉で悩みを説明するか』に合わせるのが基本です。結論として、年代はあくまで目安にし、知識量(初心者か経験者か)と視聴環境(音を出せるか、移動中か)を一緒に考えると、伝わる表現が決まりやすくなります。
世代論にとらわれすぎると、ステレオタイプに寄りかかった表現になり、かえって違和感を与えます。ここでは、言葉・テンポ・テロップ・口調の4つの観点から、調整のしかたを説明します。
まず「知識量」で言葉を決める
年代よりも先に確認したいのは、見る人がそのジャンルをどれだけ知っているかです。初心者向けなら、専門用語は使わないか、使うなら一言で説明を添えます。経験者向けなら、基本の説明を省いて、結論と根拠を先に出します。
たとえば投資の入門動画で『分散投資』という言葉を使うなら、『お金を複数に分けて預ける考え方』と一言補います。ただし、金融に関わる内容は、特定の商品の購入を勧めたり、利益を約束したりする表現を避け、一般的な説明にとどめてください。
テンポとテロップ量の調整
テンポは、ターゲットの視聴環境にも左右されます。通勤や休み時間に音を出さずに見る人が多いと想定するなら、テロップを中心に情報を伝える設計にします。音声ありで落ち着いて見る層なら、ナレーションを中心にし、テロップは要点に絞ります。
文字の大きさや表示時間も重要です。読み終える前に切り替わると、離脱の原因になります。読む速度には個人差があるため、1つのテロップは、自分が声に出して読む時間より少し長く表示するのが目安です。
口調と語尾の決め方
口調は、ターゲットとの距離感を表します。丁寧な『です・ます』は、信頼感や安心感を出したい場合に向きます。くだけた口調は、親近感を出したい場合に向きますが、使いすぎると軽く見られることがあります。
迷ったら、『です・ます調を基本にして、要所でくだけた表現を混ぜる』形が無難です。若者言葉や流行語を無理に使うのは避けてください。使い慣れない言葉は不自然に聞こえ、かえって距離を生みます。言葉は、自分が普段使う範囲で選びます。
言葉選びの具体例:同じ内容を3つの層に言い換える
『固定費の見直し』を扱う場合の例です。初心者の若い層には『毎月かならず出ていくお金を、少し軽くする方法』、子育て世帯には『毎月の出費のうち、手をつければ効果が大きいところ』、経験者には『サブスクと保険料と通信費、見直す順番』のように、悩みの切り口と言葉を変えられます。
同じテーマでも、相手の状況を想像して言い換えると、冒頭の一文が変わります。なお、年齢や属性で決めつけず、『この言い方で自分のことだと思ってもらえるか』を基準に確認してください。
チェックリスト:投稿前の言葉の確認
- 専門用語を使っていないか、使うなら説明があるか
- 1つの文が長すぎないか(声に出して一息で言えるか)
- ターゲットを不快にする決めつけや差別的な表現がないか
- 流行語を無理に使っていないか
- 字幕を消してもナレーションだけで理解できるか、逆も同様か
よくある質問
『若い世代向けにはくだけた口調がよいですか』という質問には、一概には言えません。若い層でも、丁寧で分かりやすい説明が好まれることは多くあります。口調は、年代より、内容の性質とキャラクターの一貫性で選ぶと失敗しません。
『幅広い年代に向けたいときは』については、まず中心となる層を一つ決め、その層に伝わる言葉で話します。結果として他の年代にも伝わることはありますが、最初から全員向けにすると、誰にも響きにくくなります。
台本の言い換え例
具体的な言い換えを挙げます。『サブスクリプションの解約手続きを行う』は『毎月自動で払っているサービスをやめる』、『インフレ』は『モノの値段が全体的に上がること』、『エビデンス』は『裏付けになるデータ』。難しい言葉を使う場合は、『エビデンス、つまり裏付けのことですが』と補足します。
一方、経験者向けの動画では、基本的な言い換えを省いたほうがテンポが良くなります。誰に向けるかで説明の深さを決める。この意識があれば、年代にとらわれすぎず、伝わる表現を選べます。
反応で言葉を調整する
言葉選びが合っているかは、コメントで判断できます。コメントで質問が多いなら、説明が足りない可能性があります。『もう少し詳しく』という声が多いなら、基本説明が多すぎるかもしれません。数本ごとに、コメントの言葉遣いを観察し、視聴者が使う言葉に近づけていくと、表現が自然に整います。