ショート動画を始めたいと上司を説得する方法。企画書に書くべき項目と反論への答え方
ショート動画の開始を上司に提案するとき、流行を理由にするだけでは通りません。目的、リスク、必要な工数、小さな試行計画を示す企画書の作り方と、よくある反論への答え方を解説します。
ショート動画の運用を上司に通すには、「流行っているから」ではなく、「事業の課題に対する一つの打ち手」として提案するのが近道です。そして、大きな投資を求めず、期間と範囲を区切った試行(トライアル)から始める提案にすると、承認される確率が上がります。
上司が気にしているのは、成果が出るのか、炎上しないか、誰が工数を負担するのか、の三点であることが多いです。企画書は、この三点に先回りして答える構成にします。
企画書に入れる項目
長い資料は不要です。A4で1〜2枚に、次の項目をそろえます。数字は、自社の事情に合わせた見積もりを書き、他社事例の数字を根拠にしないようにします。事例を引用する場合は、公開されている情報の範囲で、出典を明記します。
- 目的:何の課題のために行うか(採用、認知、問い合わせなど)
- 対象:誰に届けたいか
- 試行期間と範囲:まず3か月、週に◯本、一つのプラットフォームで
- 体制と工数:担当者、出演者、承認者、週に必要な時間
- リスクと対策:炎上、権利、情報漏えいへの対策と承認フロー
- 評価方法:何をもって継続・拡大・中止とするか
- 費用:ツール費用、外注費、人件費の見積もり
上司がよく言う反論と、答え方の例
反論を想定して、答えを用意しておきましょう。多くの場合、反論は拒否ではなく、不安の表れです。不安の元を特定して、その手当てを示すと、納得を得やすくなります。
- 「若者向けの遊びでは?」→対象を明確にし、自社の顧客や求職者が実際に使っている場合に限って提案する。使っているかは、アンケートや営業の声で確認
- 「炎上したらどうする?」→公開前チェック、承認フロー、初動の連絡網を示す
- 「成果が出なかったらどうする?」→期間を区切り、評価基準と中止条件をあらかじめ決める
- 「忙しくて人手がない」→必要な工数を具体的に見積もり、既存業務の何を減らすかも提案する
- 「うちの業界は地味だから向かない」→視聴者が知りたい日常・現場・質問の回答は、業界を問わず企画になる、と事例の考え方で示す
小さく始める試行計画の作り方
試行計画は、期間を3か月ほどに区切り、最初の1か月を準備、2〜3か月目を投稿と改善、最後に評価会を設けます。投稿本数は、無理のない範囲(たとえば週1本程度)から始めます。高い目標値より、運用の仕組みが回るかを確認することを第一の目標にします。
評価会では、中止、継続、拡大の三択のどれにするかを決めます。この選択肢を最初に提示しておくと、上司にとっても『やめる出口がある』ので、承認しやすくなります。
予算がほとんどなくても提案できる範囲
専用の機材や外注がなくても、スマートフォンと既存の社員、既存の素材から始められます。最初は費用ゼロに近い形で試し、効果が見えた段階で、編集ツールや外注の予算を相談するほうが通りやすいです。
ただし、無料で始めることと、承認や権利確認を省くことは違います。工数と責任範囲を軽く見せると、後で担当者が苦しくなるので、現実的に伝えてください。
企画書の書き出し例:課題から始める
企画書の冒頭は、手段ではなく課題から書き始めます。たとえば「新卒の応募者数が伸び悩んでおり、学生が当社の仕事内容を具体的にイメージできていない」という課題を示し、「求職者が日常的に見ているショート動画で、仕事の様子を伝える試行を行いたい」とつなぎます。課題の根拠は、自社の応募数の推移や、面接で聞かれる質問など、社内で確認できる事実を使います。
こうすると、上司は『流行りだから』ではなく『自社の課題を解く提案』として読めます。数字を使う場合は、出典と集計期間を書き、不確かな推測は『想定』と明記してください。
決裁者を味方にするための事前の根回し
会議の場で初めて提案を見せるのは避けます。事前に、上司本人と、影響力のある関係者(法務、広報、人事、営業責任者など)に個別で相談し、懸念を聞いておきます。懸念を企画書に反映しておくと、会議では『確認済みの事項』として進められます。
根回しは、反対意見を封じるためではなく、実務上の問題を事前に洗い出すためのものです。誠実に聞く姿勢を見せることで、提案後の協力も得やすくなります。
提案後のフォロー:最初の報告日を決める
承認が下りたら、1か月後に最初の報告を行う日を、その場で決めてしまいましょう。報告があると分かっていれば、上司も安心して見守れますし、担当者にも運用の区切りができます。報告の中身は、実績の数字に加え、学んだことと次の打ち手を必ず含めます。