企業のショート動画の予算の組み方。内製・外注・広告の費目と見積もりの考え方
ショート動画の予算は、制作費だけでなく人件費・ツール費・広告費も含めて考えます。費目の洗い出し方と、小さく始める見積もりの組み方を、金額の断定なしで解説します。
ショート動画の予算を組むときは、「制作費」だけでなく「人件費」「ツール費」「広告費」「リスク対応の費用」まで含めて費目を洗い出し、まず小さな試行の規模で見積もるのが基本です。業界の相場や平均額は、条件によって大きく異なるため、この記事では金額の目安を示しません。自社の実績と、複数社の見積もりから算出してください。
予算の説得力は、金額の大きさではなく、内訳が説明できるかで決まります。上司や経理が、『何にいくら、なぜ必要か』を理解できる資料を作りましょう。
洗い出すべき費目
社内の人件費は、見えにくいため抜け落ちがちです。『ゼロ円で始められる』という説明は、後で担当者の負担問題に変わりやすいので、時間も費用として見積もります。
- 人件費:企画、撮影、編集、承認、コメント対応にかかる社内の時間(時間数×単価で換算)
- 外部委託費:編集、撮影、運用代行、デザインなど
- ツール費:編集ソフト、字幕・台本の補助ツール、分析・予約投稿ツール
- 機材・素材費:カメラ、マイク、照明、音源やフォントのライセンス
- 広告費:動画の広告配信を行う場合
- 出演・撮影の費用:外部の出演者、会場、小道具
- 法務・専門家の確認費用:契約書や表現の確認を依頼する場合
小さく始める三段階の予算
最初から1年分の大きな予算を求めるより、段階を踏む提案が通りやすく、リスクも小さくなります。第一段階は試行期間(2〜3か月)で、主に社内の工数と最低限のツールで行います。第二段階は、試行の結果が良ければ、編集の外部委託や機材の追加を検討します。第三段階は、再現性のある型ができた段階で、広告配信や増員を検討します。
段階の移行条件(どの指標がどの水準なら次に進むか)を、前もって合意しておきます。この条件が、前記事で扱った撤退ラインとも対応します。
広告費とオーガニック運用の配分の考え方
広告配信を併用する場合は、まずオーガニック(広告以外)の運用で、反応の良い動画の型が見つかってから広告に回すほうが、無駄が出にくいといわれます。反応の悪い動画に広告費をかけても、効率は上がりにくいからです。
広告の出稿には、プラットフォームの広告規約と、広告表記のルールがあります。広告費の見積もりや配信設定は、各媒体の公式情報を確認し、必要なら専門家に相談してください。広告成果の保証をうたう提案には慎重になりましょう。
見積もりの精度を上げる方法
見積もりと実績の差を記録することが、次の予算要求の説得材料になります。
- 自社で1〜2本を実際に作り、各工程の時間を測る
- 外注の見積もりは、同じ条件で複数社から取り、含まれる範囲を揃えて比べる
- 追加費用が発生する条件(修正回数、素材、権利処理)を確認する
- 予備費を一定割合で確保する(割合は自社の事情で決める)
- 四半期ごとに、見積もりと実績を比べ、次期の見積もりに反映する
税務・会計上の扱い(経費の区分、償却など)は、自社の経理担当または税理士に確認してください。
予算書の記載例(項目の考え方)
予算書は、費目ごとに『内容』『数量・時間』『単価』『合計』『根拠』の列を作ります。たとえば編集の外部委託なら、内容は『動画編集』、数量は月の本数、単価は見積もりの値、根拠は見積書の番号、という具合です。社内人件費は、担当者の月間作業時間と、会社が定める時間単価で換算します。単価は社内の経理規定に従ってください。
根拠の欄を空欄にしないことが重要です。推測の値は『仮定』と明記し、実績で更新します。これだけで、承認者の信頼感は大きく変わります。
予算が通らなかったとき
予算が通らなかった場合は、規模を縮小して、費用のかからない範囲で試行を続ける提案に切り替えます。たとえば、外注なしで月2本、無料で使える機能中心、といった形です。その試行で得た数字や学びを、次の予算要求の根拠にします。却下の理由を上司に聞き、懸念を解消する資料を追加することも有効です。
予算がないことを、運用をやめる理由にしないでください。小さな成功の積み重ねが、次の予算の説得材料になります。
予算の見直しは四半期ごとに
ショート動画の運用は、プラットフォームの仕様や視聴者の傾向が変わりやすいため、年度初めに決めた予算を固定せず、四半期ごとに見直す前提にしておくと現実的です。見直しでは、費目ごとの実績、成果の指標、次の四半期に試したいことを並べ、増やす費目と減らす費目を決めます。固定費化しやすいツール契約は、利用状況を確認して、使われていないものは解約を検討します。
予算を要求するときの伝え方
予算の説明資料では、目的、期間、費目の内訳、期待する成果の測り方、評価のタイミングを一枚にまとめます。『他社がやっているから』ではなく、『自社の課題に対して、この費用でこの検証をする』という筋道を示します。成果を保証する表現は避け、検証の計画として示すほうが、承認者に納得されやすくなります。