動画企画を一文で言えるかテストする方法。撮る前に企画の弱点を見つける3つの型
撮影したのに何の動画か伝わらない、を防ぐ方法。誰に・何を・どう変わるかを一文にまとめ、言えない企画を撮る前に直す手順と、直し方の例を紹介します。
撮影の前に、その企画を「誰が・何を見て・どうなる動画か」という一文で言えるかを試すだけで、うまくいかない企画の多くは撮る前に見つかります。一文にまとめられない企画は、中身がまだ散らかっているか、見てほしい人が決まっていないかのどちらかです。この確認は1案あたり1分で終わり、撮影や編集に費やす数時間を無駄にしないための、最も安い保険になります。
ここでは、一文のテンプレート、言えない企画の直し方、実際の直し例、チームで使うときのコツを説明します。文章が書けなくても、口に出して言ってみるだけで構いません。
一文のテンプレート
使う型は一つで十分です。「【誰】が【どんな場面】で【何を見る】と、【どうなる】動画」。この4つの穴を埋めます。たとえば、「新生活で収納に困っている一人暮らしの人が、100円ショップの道具だけで靴箱が2倍使えるようになる様子を見て、すぐ真似できる動画」のように書きます。長くなっても構いません。最初から短くまとめる必要はなく、4つの穴が埋まっていることが重要です。
穴が埋まらないときは、どの穴が空いているかを確認します。『誰』が空いていれば対象が不明確、『何を見る』が空いていれば映像の中身が未定、『どうなる』が空いていれば見た後の価値が不明、ということです。空いている穴がそのまま、企画の弱点を示します。
言えない企画の3つの直し方
穴が埋まらないときの直し方は、次の3つです。1案ずつ試してみてください。
- 対象を絞る:『みんな』と書きそうなら、年齢や状況を一つ足して具体的な1人にする
- 見せる中身を決める:『いろいろ紹介』なら、最も印象的な1つに絞る
- 見た後の変化を足す:『知れる』で終わらず、『その場で試せる』『選べるようになる』といった行動の変化に変える
直し例:飲食店の企画
元の案は『新メニューを紹介する動画』でした。一文にすると、『お客さんが新メニューを見る動画』で、どうなるかが空いています。直し方としては、『ランチで迷っている近隣の会社員が、新メニューの断面と盛り付けを見て、今日の昼に食べに行きたくなる動画』と書きます。すると、断面が見えるカットが必要で、ランチ前の時間帯に投稿するとよい、といった具体的な判断が出てきます。
このように、一文にすると撮影内容と投稿の工夫まで連鎖して決まります。企画の質は、言葉にすることで格段に上がります。
一文テストで見つかる典型的な弱点
一文にしてみると、典型的な弱点がいくつか見つかります。『誰』が広すぎる場合は、全員に向けて作った結果、誰にも刺さらない動画になりがちです。『何を見る』が抽象的な場合は、撮影で何を映すか決まっておらず、現場で迷います。『どうなる』が『知れる』だけの場合は、見た後の行動が変わらないので、保存や共有につながりにくくなります。それぞれ、対象を一人に絞る、映す物を具体的に決める、見た後に試せる行動を足す、で直せます。
また、一文が長くなりすぎて読みにくい場合は、一つの動画に複数のことを詰め込もうとしているサインです。1本1テーマに分割できないかを検討してください。
言語化の習慣を育てる
一文を書く習慣は、企画の質を上げるだけでなく、タイトルや概要欄の文章を書く際にも役立ちます。一文がそのまま、タイトル案や冒頭の一言のたたき台になるからです。慣れてきたら、他人の動画を見て、その動画を一文で言ってみる練習もおすすめです。うまく言えない動画は、構成が散らかっていることが多く、反面教師として学べます。
毎日1本ずつ、気になった動画を一文にする練習を続けると、数週間で企画を言語化する速度が上がります。
一文を共有メモのテンプレートにする
共有メモの案の欄に、一文を書く列を作っておきます。列が空のままの案は、まだ企画として未完成と見なします。この小さな仕組みで、チーム全体の企画の質が一定の水準に保たれます。
チームで使うときのコツ
会議や共有メモで、案ごとに一文を必須にします。一文がない案は、採点の対象にしないというルールにすると、発案者が自分で考える習慣がつきます。また、他のメンバーが読んで、同じ映像を想像できるかを確認します。想像する映像が人によって違う場合は、まだ曖昧です。
承認や外部への確認が必要な場合、この一文は説明資料としても役立ちます。上司や取引先に、『こういう動画です』と短く伝えられるため、確認のやりとりが減ります。
一文テストの限界
一文で言える企画が、必ず良い企画とは限りません。伝えたい内容が明確でも、見る人にとって魅力的かは別の話です。一文テストは企画の最低ラインを確認するもので、反応の良さを保証するものではありません。
そのため、一文を書いた後に『これを知った視聴者は、友人に話したくなるか』を自問してみてください。答えが『はい』ならば、保存や共有を促す余地が大きい企画です。最終的な判断は、投稿後の数字で確認しましょう。
一文に収めることを優先しすぎて、内容を無理に単純化しないでください。誤解を招く表現や誇張は、避ける必要があります。