動画の企画をブレストで50個出す手順。質より量で考えるための4つの切り口
ブレストで案が5個で止まる人向けに、切り口を決めて50個まで出す手順を解説。視聴者の悩み、場面、型、制約の4つの掛け算で量を出し、後から絞る方法です。
ブレストで案が出ないのは発想力の問題ではなく、考える『切り口』が決まっていないからです。白紙に向かって「何か面白いことは」と考えるのではなく、悩み・場面・型・制約という4つの軸を掛け合わせると、50個程度の案は意外と短時間で出てきます。出した案の良し悪しは、後で絞る段階で判断すれば十分です。
ここでは、一人でも複数人でも使える手順を、準備から絞り込みまで順番に説明します。タイマーを15〜20分にセットして、実際に手を動かしながら読むのがおすすめです。『面白い案を出す』のではなく『材料を並べる』作業だと割り切ると、手が止まりにくくなります。
切り口1:視聴者の悩みを10個書く
最初に、見てほしい人が抱えている悩みや疑問を10個書き出します。たとえば料理系なら「平日に作る時間がない」「洗い物を減らしたい」「材料を使い切れない」のように、具体的な不満の形にします。ジャンル名ではなく、困りごとの文にするのがコツです。ここが具体的なほど、後続の掛け算で使える案が増えます。
悩みの出どころに迷う場合は、コメントやDM、店舗なら接客でよく聞かれる質問が最も確かな材料です。実際の声を使えば、想像で書くよりも的を外しにくくなります。10個書けなければ、まずは5個でも構いません。
切り口2〜4:場面・型・制約を足す
次に、場面を5つ、動画の型を5つ、制約を3つ用意します。場面は朝・通勤・休日など、型は「比較」「ビフォーアフター」「失敗談」「やってみた」「Q&A」など、制約は「1分以内」「道具1つだけ」「予算500円以内」といった条件です。悩み10個に場面や型を1つずつ組み合わせるだけで、案の数は一気に増えます。掛け算の例を見てみましょう。
- 悩み×型:「時間がない」×「比較」=時短レシピ3つを同じ条件で比べる
- 悩み×場面:「洗い物を減らしたい」×「朝」=朝食でフライパン1つだけ
- 悩み×制約:「材料を使い切れない」×「予算500円以内」=余り物だけで1品
- 悩み×失敗談:「味が決まらない」×「失敗談」=自分がやりがちな調味料の入れ方3選
ブレスト中のルール
量を出すときは、いくつかルールを決めておくと止まりません。批評をしない、重複しても消さない、現実的でない案も書く、の3つです。実現不可能に見える案でも、条件を緩めると使えることがあります。たとえば『海外ロケで撮る』という案が無理でも、『近所の外国料理店で撮る』に変えれば成立します。
複数人で行うなら、最初の5分は各自が黙って書き、その後に共有します。先に誰かが発言すると、他の人の発想がそちらに寄ってしまうためです。ホワイトボードがなくても、共有ドキュメントに同時に書き込むだけで同じ効果が得られます。
掛け算の例を一つ最後まで進めてみる
仮に『ヨガ教室』が題材だとします。悩みは「肩こりがひどい」、場面は「仕事の休憩中」、型は「比較」、制約は「椅子に座ったまま」。これを組み合わせると、『座ったまま1分でできる肩ストレッチ3種を比べる』という案になります。ここから『デスクワーク向け』『在宅向け』などと派生させると、似た案が5本ほどできます。1つの組み合わせからシリーズが生まれるイメージです。
案は短い一文で書き、冒頭の一言まで付けると使いやすくなります。この例なら『肩こりがつらい人は、座ったままで1分だけ試してください』と書いておくだけで、撮影時に迷いません。
ブレストの失敗例と対処
よくある失敗は、最初の10個で満足してしまうことです。簡単に出る案は、誰でも思いつく案であることが多く、本当に使える案は後半に出る傾向があります。そこで、タイマーが鳴っても、あと5個だけ追加する、とルールを決めます。
もう一つの失敗は、書いている途中に評価を始めることです。『これは無理かも』と思った瞬間に手が止まります。評価は翌日と決めて、書くときは徹底して書くことだけに集中してください。
一人で行う場合と複数人で行う場合の違い
一人でブレストを行う場合は、自分の中の批評家が早く出てきてしまうため、タイマーを短めに設定して、手を止めさせない工夫が必要です。メモアプリではなく紙に書くと、消さずに残るので否定しにくくなります。複数人で行う場合は、最初に全員が黙って書く時間を設け、その後に共有します。同じ悩みのリストを使っても、人によって掛け合わせの発想が違うため、一人では出ない案が混ざります。
さらに、普段は動画に関わらない家族や同僚、お店のスタッフを呼ぶのも有効です。専門外の人は、専門家が当たり前と思っていることに疑問を持つので、視聴者に近い視点の案が出やすくなります。ただし、出てきた案を採用するかは、自分たちの方針で決めてください。
50個を使える形にする仕分け表
出した案は、次の3つの箱に分けると使いやすくなります。『すぐ撮れる』は今週中に撮影できるもの、『準備が必要』は小道具や許可などを手配すれば撮れるもの、『寝かせる』は時期や条件を待つものです。全体の3割が『すぐ撮れる』に入れば、十分な成果です。
50個のうち、実際に動画になるのは数本でも問題ありません。大事なのは、材料が目の前にあるという安心感です。ネタがあるという感覚は、次の一歩を踏み出す心理的な余裕にもつながります。
出した後の絞り込みと保存
50個出した直後に良し悪しを選ぶと、冷静な判断ができません。いったん時間を置き、翌日に「撮れるか」「冒頭の一言を言えるか」の2点だけで仕分けします。冒頭の一言が出てこない案は、まだ企画として固まっていないサインです。
残った案は、没案も含めて一つの場所に保存します。没にした案が、半年後には別の切り口で使えることがよくあります。捨てずに『保留』の欄へ移す習慣をつけておきましょう。ブレストは月に1回、悩みのリストを更新して繰り返すと、常に新しい材料が用意されます。
ブレスト中は否定しない、というルールを守るだけで量は大きく変わります。重複する案があっても消さずに、そのまま並べてください。