採用広報のショート動画の作り方。求職者が見たい内容と、避けたい見せ方
採用広報でショート動画を使うなら、会社の魅力を語る前に、求職者が知りたい日常・仕事内容・人を見せることが近道です。企画の型と注意点を整理します。
採用広報のショート動画は、会社が言いたいことより、求職者が入社前に知りたいことを先に見せると反応が得やすくなります。具体的には、一日の流れ、仕事の中身、一緒に働く人の雰囲気、入社後に任される範囲です。
求人票には書ききれない「働く姿」を30秒前後で見せられることが、ショート動画の強みです。ただし、見せ方を誤ると誇張や美化に見え、入社後のギャップを生みます。本音を適度に出す設計が、採用の質を保ちます。
求職者が知りたいことから企画を作る
採用担当者が考える企画と、求職者が知りたいことには、ずれがあります。会社の歴史や理念を語るより、「新入社員の最初の1週間」「配属後の一日」「先輩との1on1の様子」といった、自分が働く姿を想像できる素材のほうが関心を持たれやすいといわれます。
企画のたねは、内定者アンケートや面接での質問から集めます。面接で毎回聞かれることは、多くの求職者が知りたいことです。それをそのまま動画のテーマにできます。
- 一日の流れ:出社から退社までを時間順に見せる
- 仕事の中身:具体的な案件や作業を、専門用語を避けて説明する
- 人:社員の人柄が分かる短いインタビュー
- 入社後の成長:研修や配属後のステップ
- よく聞かれる質問への回答:残業、休暇、評価など答えられる範囲で
出演してくれる社員の選び方と、同意の取り方
出演者は、広報が指名するより、本人の同意と負担感を最優先にします。人前に出ることが負担な人もいます。出演を断る自由を保証し、断っても評価に影響しないと明言してください。
撮影前に、動画の公開範囲、使用期間、退職後の扱いを説明し、書面で同意を取ります。名前や所属、肩書きの表示、家族や住所など私生活の情報に触れないことも確認しておきます。出演者が退職した場合の動画の取り下げ方針も、事前に決めておくと後のトラブルを避けられます。
美化しすぎない:ギャップを防ぐ表現の考え方
「アットホームな職場」「風通しがよい」といった抽象的な言葉は、証拠がないと信頼されにくく、入社後の不満の種にもなります。代わりに、実際の会議の様子、先輩に質問できる環境の具体例、困ったときの対応の事例など、事実で示します。
良い面だけでなく、大変な面も一つは見せると、かえって誠実に映ります。たとえば「繁忙期は残業が増える時期もある。その時期は代休の運用をしている」と実態を説明する形です。ただし制度の内容は、人事・労務の確認を取ったうえで語ってください。
労働条件や制度に関する表現は、誤解を招くと問題になり得ます。給与、残業、休暇などの説明は、人事・労務担当の確認を必ず経てください。
採用向けの台本例:新入社員の一日
新入社員の一日を追う動画は、定番の型です。冒頭で「入社1年目の営業、ある日の流れ」と提示し、朝の準備、先輩との同行、昼食、事務作業、振り返りの面談を、1場面あたり数秒でつなぎます。字幕には時刻を出し、最後に『実際は失敗もあります。先輩が一緒に振り返ってくれます』のような、等身大の一言を入れます。
この型は撮影が比較的簡単で、出演者の負担も軽くできます。場面ごとに社内の機密や顧客情報が映り込まないかの確認は必須です。画面や書類、ホワイトボードが背景に入っていないかを、撮影前に整えておいてください。
新卒向けと中途向けで、見せるものを変える
新卒の求職者は、成長の環境や最初の仕事を知りたい傾向があります。中途の求職者は、役割や裁量、評価の仕組み、自分の経験がどう活きるかを気にすることが多いといわれます。同じ動画で両方に応えようとせず、アカウント内でシリーズを分けるか、動画の冒頭で『こんな方へ』と対象を明示すると、見る人が自分ごととして受け取りやすくなります。
採用広報で避けたい失敗パターン
とくに最後の点は見落とされがちです。出演した社員が不快なコメントにさらされる可能性を想定し、報告窓口と、コメントの非表示・削除の方針を前もって決めておくことが、出演者を守ることにつながります。
- 経営者のメッセージだけを流す:求職者が知りたい日常が見えない
- 出演者に台本を暗記させて棒読みになる:自然な会話や作業の様子のほうが伝わる
- 募集要項や待遇を断定的に語る:内容が変わったとき訂正が難しい
- 応募者の反応コメントに返信しない:応募の窓口として見られている
- 出演社員のSNSやコメント欄での誹謗中傷への備えがない:事前に対応方針を決める
採用の成果をどう測るか
採用広報の成果は、再生数より、応募者の質と応募経路で測ります。応募時のアンケートに「当社を知ったきっかけ」の選択肢にSNSの動画を入れる。面接で「どの動画を見たか」を聞く。こうした方法で、動画が応募にどう貢献したかを把握します。
動画から応募までは時間がかかるのが普通です。数か月単位で見ることを、上司や人事部門と事前に共有しておきましょう。
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